主宰

勉強会の様子

医療と聞こえない人がつながること

聞くこと話すことに何の不自由もない人にとっても、医療機関を受信し受付、診察、検査の後、治療方針の説明をうけ、投薬、会計を済ませるまでの時間を不安と感じることが多いといわれます。まして障害のある患者さんは意思疎通が不十分で、不安がさらに強いと考えられます。当院では、以前より常に2~3人の聴覚障害者が通院しておられ、1人のスタッフ以外は皆、筆談をしていました。それはあくまでも機械的で必要最小限の会話と情報提供になってしまい、特に医療関係の言葉を伝えることには随分苦労しました。
そんな中、手話の勉強をしたいという意見が職員から出てきました。聴覚障害の方、さらに手話通訳者の方を講師に迎え、今から10年前勉強会をスタートしました。「おはようございます」「お大事に」など日常会話から始まって、最近では医療現場での手話に取り組んでいます。手の動きがなんとか出来ても微妙なニュアンスが伝わらないことが多々あります。聴覚障害者にとっては目に見えるものがすべてであり、顔の表情によって楽しい、悲しい、つらい等を敏感に感じています。また、口の動きで言葉を読みとる口話という手法は重要です。そのためには相手の目や口を見て顔の表情豊かにはっきりと話しながら手話をすることが基本です。と言う私もまだまだ未熟で知りたい事、伝えたい事の何十分の一も出来ませんが、日ごろ、何気なくしている会話がこんなにも重たく苦労を要する事だと実感しています。聴覚障害者の方によれば手話はこれが正しいというものが一つだけではなく地域、個人、年齢によっても表現方法が違い、一人一人にあった手話を身につけて欲しいそうです。はやく期待に応えたいものです。また手話通訳者の方は、医療関係者は目で見てわかるものを活用し、患者さんと視線を合わせ満面の笑みで迎えいれて、医療と聞こえない人がつながって欲しいという願いを日頃より話されます。考えてみると医療機関を訪れる聴覚障害者のみならず不安、苦痛、失意などで聞く耳を持てない多くの患者さんも、ある意味で聞こえない人たちと言えます。そういった患者さんとコミニケーションがとれることが医療関係者にますます要求されることでしょう。
手話勉強会を始めて、聞こえない人達の視線を以前にもまして感じるようになりました。今後この交流の輪を広げていきたいと思っています。当院での手話の実際を医療現場の手話のホームページとしてリニューアルしました。ぜひ見てください。

津田医院 狩野卓夫